そして・・・夏は来ぬ
春は曙 夢をみた
椅子に掛けたあなたのブルゾン
心をこめて たたんでみたいのに
でも・・・とどかないわ
妻じゃないの私
人肌の涙で 目が醒めたのよ
秋は黄昏 ひとりだけ
罪ね二人づれで来るなんて
あなたの仕草 崩れてしまいそう
だめ・・・私はママ
のれんは母ごころ
も少し夢みたい このカウンター
冬は夕映え 人はゆき
家族みたい重ねた年月(きせつ)
出逢いと別れ 人生のいろいろ
そう・・・生きた証
私は詩(うた)にして
星空に包まれ 口遊(くちずさ)むのよ
2008年
団塊末子のつぶやき
赤坂の夜は更けて
週末の赤坂、オフィス・ラブは単身赴任・・・
あのカウンターの二人連れも、そこのテーブルの、男と女も息を潜めて、音もたてず店の扉を閉め、去って行ってしまった・・・私の心、うつろなこころ・・・
「一人でもいいかしら、もう少し居させて・・・」週末東京を出てゆくあなた、明るい灯火(ライト)に集う家族「どうぞ、あなた、あなたご自身にお戻りなさい」と、優しい呟きを投げかける。私の声が、静かなBGMに重なって、まばらな客の、すきまを流れてゆく・・・
仄かに霞んだガラス窓、街路灯の下で揺れているあなたの後ろ姿。にじんで見えるのは、悲しみ、それとも憂い、いえ、私の涙のせいかしら。急ぎ足の男の背中が、こんなにも愛おしいのに、それも束の間。夜霧に吸い込まれるように、消えてしまい、幻だけが残る、すべて束の間・・・
哀しみも、悦びも、生きる事だって・・・束の間。私、分かってる筈よ。分かってるわ。それでも、それなのに、逢いたい気持ちは、つのるばかり・・・
赤坂の夜は更けゆく。赤坂の夜は更けゆく。